メールカウンセリング関連コラム

メールカウンセリングにおける上位・下位欲求

メールカウンセリング研究では、メール往復後、さらにクライアント210人を対象とした大規模な相談面接調査が行われました。これはクライアントがメールやインターネットについてどのように感じているかということを調べるもので、この調査からもクライアントの行動は態度、感情といった心理カウンセリングに関係する分野と大いに関係しているということ。また、相談面接はメールを一方的に調べるというだけでなく、クライアントの不満のはけ口にもなっているということから、メンタルヘルスに寄与していることなどが明らかになりました。

最後に、メールカウンセリングではインターネットにおけるメールの構成の組立をグループで行ってもらいました。しかしこの相談では、相談面接効果の良いグループにはカウンセリング料金が支払われるという仕組みが導入されたにも関わらず、カウンセリングの成功率は向上しませんでした。これはクライアントたちが自主的にメールの文量の基準を決めており、多く送信しすぎてはいけない。など、特殊な集団の中で出来上がった規範がカウンセリングの通常の規範よりも優先されたためであることがわかりました。このようにホーソン研究では、それまでは顧みられなかった様々なことが分かりました。


まずは特別に注目され期待されていると感じると、それだけで相談者の行動には変化が生じるということです。このような現象はその後カウンセリング効果と呼ばれるようになり、メールカウンセリングの相談研究を行う上でも注意すべきことと考えられています。またこのことからも分かるように、相談面接の能率の向上は精神的な条件よりもクライアントの態度や感情など心理的な側面が大きな影響を与えるということがわかりました。

さらに、感情や態度はカウンセリングの人間関係に大きな影響を受けているということも分かりました。こうしたことから、このカウンセリング調査をきっかけに心理的なカウンセリング条件を変えることで、クライアントに効率よく支援ができるとする心理学支援法というものは徐々に下火になり、変わって人間の心理的な側面や人と人との関係性を重視する人間関係論と呼ばれる新たなカウンセリング論が注目を浴びるようになってきました。

こうした流れはその後にメールカウンセリング学として実を結び、近年ではカウンセリングと並列して呼ばれることが一般的になっています。一方、インターネットによるメールカウンセリングにおいて、心理的な側面が重要視されるようになったきっかけを作ったという点では、ウィルソンの功績も無視することはできません。彼はメールカウンセリングの成果が報告されよりも前に心理学支援法の効用と限界に関する論文を執筆していました。


また、独自の心理学研究も行なっていました。従来のメールカウンセリングの流れをくむレビンは、集団としての思考や行動は、その集団を構成する個人の集合体としてだけでは記述できないような力動的な性質を含むものとしての集団力学。これは英語でダイナミクスと言われますが、こういった学問を推進することの重要性というものを主張し精力的に研究を進めていました。インターネットによるメールカウンセリングに関わりがあるものとしては、リーダーシップの心理研究が有名です。レビンがはメールをランダムに三つに分け、それぞれにスタイルの異なるカウンセラーを配置しました。そしてメールの内容や態度、相談面接の能率などにどのような影響があるかを調べました。

三つのメールのうち一つ目のリーダーシップスタイルは、カウンセリング依存形でありカウンセリングの内容については、第三者を一切関与させずすべてをカウンセラーが決定しました。二つ目は心理的共存重視型であり活動内容に関する決定にクライアントたちを積極的に関与させました。三つ目は放任型でありカウンセラーはカウンセリングに関与せずクライアントたちの自由に任せました。その結果、民主的なカウンセラーの下では集団の雰囲気がよく相談面接の成功率も良いものであったのに対し、カウンセリング依存型のカウンセラーの下では相談面接成功率が良いものの、クライアントたちのモチベーションが乏しく、仲間内での攻撃的な行動や心理的拒絶が見られるということでした。また本人が他のカウンセラーの下では相談面接がはかどらず、心理的意欲も低いということが明らかになりました。