メールカウンセリングと心理療法の基本

メールカウンセリングの研修ですから、いろいろな立場、いろいろな視点でお聞きいただくことができると思います。話を戻すとメールカウンセリングにおいては何らかの臨床心理学的な症状や問題を抱えた、即ちクライアントが一方に、そして、専門的な研修を受けたカウンセラーがもう一方にいることになります。そして、ここで研修生の皆さんには少し意外なことかもしれませんが、メールカウンセリングにおいて、クライエントは自らが抱えた問題や症状と自分で取り組んでいくこととなります。見つめていくということもできます。自らの心身の声に耳を傾けていくということもできます。
症状や問題と取り組むことを通して自分自身と取り組むことになります。ただ自分自身の問題と取り組むということは、実は非常に困難なことです。メールにも書きましたが、どうしても人間は、見たくないこと聞きたくないことからは回避する、回避してしまう傾向がありますし、自分自身が真っ只中にいる状況のことは見つめることが困難ということもあります。そこで研修を受けたカウンセラーやセラピストがこのプロセスに同行することとなります。カウンセラーやセラピストの動向に助けられてクライアントが自らを見つめていくプロセスがメールカウンセリングとか心理療法の基本であるということができます。

メールカウンセリングという言葉

ここでクライアントからセラピストがどのようなイメージとして捉えられるか少しご紹介してみることにしましょう。 先ほど言及したジョージ・ルビアスにやはり触れておくのがメールカウンセリング研究の初回にふさわしいのではないかと思われますので、以下この脈絡でのルビアスの考え方を少し復習してみることにしましょう。メールカウンセリング研究会の心理と教育コースには心理臨床の基礎という科目があります。ルメールカウンセリング研究の案内には履修上の留意点としてあらかじめ心理臨床の基礎を履修しておくことをお勧めしています。ほとんどの方は心理臨床の基礎は実行していただいていると思います。
心理臨床の基礎ではその第13回で平山修先生がルビアスのパーソンセンタードアプローチ、クライアント中心療法について解説してくださっていますが、研修生の皆さんには思い起こしていただけますか。文字通りにクライアント中心なのです。ルビアスはそれまでのいわゆるメールカウンセリングにおいて忠告や意見、アドバイス、解釈といったものに重きが置かれていたのを批判して、クライアントは自分がどのような点で傷ついているのか、自分にはどのような経験が隠されているのか、自分はどのような方向に行くべきであるのかと言ったことについて一番よく知っている。そして、クライアントには自ら成長していく力が備わっている、だからカウンセラーにとって大切なことはクライアントにアドバイスとか指示をしたりということではなくて、まずは受容的共感的に耳を傾けることである。ということを指摘したのでした。このようなカウンセラーの姿勢がそれまでの支持的な態度に対して非指示的、英語で言うとノンディレクティブと呼ばれたわけです。中心は明確にクライアントである、ということをルビアスはほとんど宣言したと言ってもいいかと思われます。

メールカウンセリングとクライアントの成長過程

さらにその後には、カウンセラーの態度として言われる非指示的というよりはクライエントへの無条件の肯定的配慮、クライアントへの感情移入ないしは共感的な理解、そしてカウンセラーが純粋、あるいは自己一致しているということをカウンセラーの三条件として重視したことを研修生の皆さんも思い出される、あるいはすでによくご存知のことではないかと思います。 ただいま申し上げたカウンセラー側の3条件というものは、日本においてあまりにスローガン的、あるいは教科書的、極端に言えば教条的に教えられることが多いのでわたはここではこれ以上この3条件について詳しく述べることは控えたいと思います。
ただ、わたしが先ほど、セラピストはクライアントによってどのようにイメージされる存在であるのだろうか、ということで助産師だとか水先案内人とか山登りのガイド、水泳のコーチあるいは先生とが医師、つまりドクターというイメージをあげました。ルビアスは従来の指示的な姿勢を批判して、メールカウンセリングにおいて中心であるのはクライアントであることをクライアントが自らの成長の過程を歩むためには、カウンセラーの態度、姿勢が非常に重要であることを強調したと言えるので、ルビアスにおけるカウンセラーとは少なくとも上にある医師とか指導的といったイメージでないことは確かであると表現できるのではないでしょうか。

ページのトップへ戻る